ストーリー

〈自由軍〉500人 V.S.〈アメリカ南軍〉1,000,000人

何のために戦うのか、戦場の真中で疑問を抱く男がいる。彼の名はニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)。1862年、南北戦争が日に日に激化する中、南軍の衛生兵として何人もの死にゆく者を見つめていた。
新しい法律で、奴隷を20人以上所有する農園の長男は兵役を免除されると聞いたニュートンは、貧しい者が金持ちのために戦うことに憤る。甥のダニエル(ジェイコブ・ロフランド)が目の前で銃弾に倒れた時、忍耐の糸が切れたニュートンは、遺体を家族に渡すために軍を脱走する。
故郷のミシシッピ州ジョーンズ郡では、留守を預かる近隣の女たちが、作物や衣類を根こそぎ徴収する南軍に苦しめられていた。ニュートンは、幼い娘3人を抱えた母親に家畜もすべて差し出せと脅す騎兵隊を追い払うが、脱走兵の追跡も任務だという将校に目をつけられ、妻のセリーナ(ケリー・ラッセル)と赤ん坊を置いて逃げざるを得なくなる。
酒場の女主人のサリー(ジル・ジェーン・クレメンツ)の手引きで、ニュートンは“沼”へと向かう。数日前、高熱を出した赤ん坊を救ってくれたイーキンズ家の使用人のレイチェル(ググ・ンバータ=ロー)の案内で沼の奥の湿原に入ると、そこは逃亡奴隷たちの隠れ場所だった。モーゼス(マハーシャラ・アリ)と名乗る男が、騎兵隊の犬にかまれた傷を治療してくれる。

自分と同じく自由を求める逃亡奴隷たちと心を通わせ始めたニュートンは、反撃に出ることを決意し、銃を手配する。まずは脱走を繰り返したためにつけられたというモーゼスの首の鉄の輪を外してやり、大きな音を聞いて駆け付けた捜索隊を迎え撃ちにしたのだ。逃亡奴隷たちは、黒人を助けるために白人を撃ったニュートンに驚いていた。
1863年、ニュートンが率いる沼の“自由反乱軍”のメンバーは増え続けていた。逃亡奴隷に脱走兵、かつて南軍で一緒だったウィル(ショーン・ブリジャース)やジャスパー(クリストファー・ベリー)の姿もあった。南軍に資産を奪われた村人たちも集まり、黒人と白人が平等に笑い合える、南部では前代未聞の村が生まれていた。レイチェルも物資調達係として、ニュートンを支援し続けている。
“ジョーンズ郡の自由民”と名乗り、騎兵隊に徴収された物資を奪い返すニュートンの反乱軍に、南軍は農場を焼き払うという非道な手に出て降伏を求める。ニュートンは断固拒否するが、農場を守ろうとした父親とその子供たちを含む4人が降伏するが、見せしめに吊るされてしまう。
怒りと悲しみで一つになった反乱軍は南軍に全面攻撃を仕掛け、1864年にエリスビルの司令部を占拠し、その勢いで隣接する3つの郡を奪う。南軍のさらなる攻撃に対抗するため、北軍に援助を要請するが断られてしまったニュートンは、北部にも南部にも属さない“ジョーンズ自由州”の設立を高らかに宣言するのだった。
1865年、南北戦争は終結する。だがそれは、新たな戦いの幕開けにすぎなかった──。